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空港のそばでドローンは飛ばせる?空港周辺の規制とは
結論からいうと飛ばすことは可能です。
しかし、空港周辺でのドローンの飛行にはいくつかの規制があり、飛行には申請して許可を得る必要があります。
規制概要
自転車や車に交通ルールがあるように、ドローンにも航空法で定められた基本的な飛行ルールがあります。そんなドローンの飛行ルールには、「飛行禁止空域」「飛行禁止法」の2つがあります。
ドローンは「航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれのある空域」「落下した場合の人や建物などに危害を及ぼすおそれが高い空域」において、飛行禁止空域が指定されています。飛行禁止空域でドローンを飛ばすには、国土交通大臣の「許可」が必要であり、これはたとえ自身の私有地であっても同様です。
空港等の周辺の空域も、そんな「飛行禁止空域」のひとつです。
- 屋内で飛行させる場合は航空法の規制対象外につき、許可は不要です。
ドローンNGな「空港等の周辺」、具体的な範囲とは?
「空港等の周辺の空域」とは、航空機の離陸及び着陸の安全を確保するために必要なものとして国土交通大臣が定める、全国の空港・ヘリポート等の周辺の上空の空域です。
「上空の空域」にも以下のような6つの”面”が設定されており、総称して「制限表面」と呼びます。
各表面にはそれぞれ高度が設定されており、その高度より高い場所でドローンを飛ばすことや、建物を設置することは禁止です。反対に、表面より低い高度なら申請せずにドローンを飛ばすことができます。
制限表面の種類と範囲
- 進入表面:進入の最終段階及び離陸時における航空機の安全を確保するために必要な表面
- 水平表面 :空港周辺での旋回飛行等低空飛行の安全を確保するために必要な表面
- 転移表面 :進入をやり直す場合等の側面方向への飛行の安全を確保するために必要な表面
- 円錐表面 : 大型化及び高速化により旋回半径が増大した航空機の空港周辺での旋回飛行等の安全を確保するために必要な表面
- 延長進入表面 : 精密進入方式による航空機の最終直線進入の安全を確保するために必要な表面
- 外側水平表面 : 航空機が最終直線進入を行うまでの経路の安全を確保するために必要な表面
空港別の制限表面
制限表面は、空港によって設定のあるものとないものが異なります。
全空港に設定されるもの
- 進入表面
- 水平表面
- 転移表面
政令空港に設定されるもの
- 円錐表面
- 延長進入表面
- 外側水平表面
- 政令空港とは:釧路・函館・仙台・大阪国際・松山・福岡・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・那覇空港
制限表面についての注意点
制限表面以下の高度ならドローンの飛行は可能ですが、下記8つの空港に限っては「進入表面」「移転表面」より下の空域と「空港敷地内」では、無人航空機の飛行が禁止されています。これらの空港周辺では、必ず「許可」が必要になるので注意してください。
- 新千歳空港
- 成田国際空港
- 東京国際空港
- 中部国際空港
- 大阪国際空港
- 関西国際空港
- 福岡空港
- 那覇空港
事前確認が必須!「空港等の周辺の空域」の調べ方
「航空局HP」を使って調べる方法
手順
国土交通省の航空局HP>進入表面等の設定状況(広域図)から、当該エリアのファイルを開いて確認します。
注意点
この方法で確認できるのは広域図となるため、詳細な範囲を確認ができません。また国土交通省もこの広域図には「誤差が含まれている場合がある」と明記しています。
より詳細な詳細な情報は次に説明する方法で確認するほか、境界付近で飛行させる場合には必ず、空港等の管理者(※)に確認してください。
- 三沢飛行場、木更津飛行場及び岩国飛行場周辺の空域については、管轄する空港事務所
「地理院地図」を使って調べる方法
国土地理院の地理院地図に飛行予定場所の住所を入れ、空港等の周辺の空域に該当するか否かを確認できます。地図の縮尺を変更できるため航空局HPと比較し、詳細に確認することができます。
手順
- 画面上の赤枠部分に、飛行場所の住所を入力します。
- 画像左下の「空港等の周辺空域(航空局)」を押します。
- 地図上に制限上面(緑色の円)が表示されます。
「高さ制限システム」を使って調べる方法
一部の空港の制限表面は、「高さ制限システム」で調べる事ができます。
- すべての空港に用意されているシステムではないのでご注意ください。
手順(羽田空港の場合)
- 画面上部に住所を入れ、「詳細地図表示」ボタンを押します。
- 指定した住所に赤いピン、画面下には制限高や注意事項が表示されます。
主要空港の高さ制限回答システム
- 新千歳空港高さ制限回答システム
- 函館空港高さ制限回答システム
- 羽田空港(東京国際空港)高さ制限回答システム
- 成田国際空港高さ制限回答システム
- 新潟空港高さ制限回答システム
- 中部国際空港(セントレア)高さ制限回答システム
- 関西国際空港高さ制限回答システム
- 大阪国際(伊丹)空港高さ制限回答システム
- 福岡空港高さ制限回答システム
- 長崎空港高さ制限回答システム
「管理者」に確認して調べる方法
「高さ制限回答システム」がない空港や、使用しても不確かな点がある場合などは、該当する空港等の管理者(※)に問い合わせて確認することができます。
参考(外部リンク):進入表面等の設定状況(詳細図)及び空港等の周辺空域を管轄する機関の連絡先/国土交通省
- 三沢飛行場、木更津飛行場及び岩国飛行場周辺の空域については、管轄する空港事務所
「ドローンの空港等の周辺での飛行」申請方法とは?
まず確認!空港等の周辺空域における「追加基準」とは
空港等の周辺の空域において国土交通大臣の許可を受けるためには、追加基準を満たす必要があります。
- 機体の追加基準
- 安全確保体制の追加基準
詳しい審査の基準は、下記をご確認ください。
参考(外部リンク):無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領>「5.飛行形態に応じた追加基準」(P18~)/国土交通省
申請手順
1.管理機関から承認を得る
該当する空港の管理機関に、事前に連絡をして「承認」を得てください。管理者の承認なしには、申請しても許可がおりません。
2.空港事務所へ申請
1の管理機関から承認をもらったら、該当する空港事務所(所長) へ申請します。
空港事務所の連絡先(外部リンク):進入表面等の設定状況(詳細図)及び空港等の周辺空域を管轄する機関の連絡先
申請に必要な書類と書き方
- 無人航空機の飛行に関する許可・承認申請書
詳しい記入内容については、国土交通省の用意する記載例(空港周辺、地表又は水面から 150m 以上の高さの空域での飛行許可申請の申請書記載例)をご確認ください。
参考(外部リンク):無人航空機の飛行許可承認手続>申請書様式、作成要領等 無人航空機の飛行に関する許可・承認申請書(様式)〔word形式〕(※)
申請先
飛行させようとする空域を管轄する「空港事務所」に申請します。管轄する空港事務所は国土交通省の航空局HPの「許可・承認申請書の提出官署の連絡先」にて確認できます。
申請から許可を得るまでの所要時間
国土交通省は、空港等周辺を含む「飛行禁止空域」での飛行に関する申請は、遅くとも飛行開始予定日の10開庁日前までに書類を提出するようアナウンスしています。
しかし、申請に不備があった場合は審査に時間がかかることや、混雑する時期もあるため、飛行開始予定日から3〜4週間ほどの余裕をもって申請することをお願いしています。
飛行前に要確認!許可があっても200g未満でも「緊急用務空域」はNG!
ここまで説明したように空港等の周辺の空域であっても、事前に必要な手続きを経て許可を得ればドローンの飛行は可能になります。
しかし2021年6月1日より始まった「緊急用務空域(※)」に設定された場所では、たとえ事前に許可をもらっていても、航空法の適用されない200g未満の無人航空機であっても、すべての機体を飛行させることができません。
ドローンを飛ばす人には、飛行の開始前に当該空域が「緊急用務空域に該当するか否かの確認義務」が課されています。緊急用務空域の設定状況は、国土交通省HPやTwitterで確認します。
緊急用務空域に設定されているにも関わらず当該空域での飛行を継続させた場合、航空法違反の対象となります。
- 緊急用務空域:無人航空機の飛行の禁止空域として、消防、救助、警察業務その他の緊急用務を行うための航空機の飛行の安全を確保する必要があるものとして国土交通大臣が指定する空域。
参考(外部リンク):
航空法だけじゃない!「小型無人機等飛行禁止法」にも注意
2020年7月22日以降、「小型無人機等飛行禁止法」により以下8つの対象空港の周辺地域の上空における、ドローンなどの小型無人機等の飛行が禁止となりました。
飛行させる場合は、航空法関連の手続きとは別途「管理者の同意を得る」ほか、都道府県公安委員会、管区海上保安部長などへの飛行開始48時間前までの事前通報が必要です。違反した場合には、警察官等による機器の退去命令や、飛行の妨害等の措置の対象となる場合があり、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる場合があります。
詳細は以下をご確認ください。
参考(外部リンク):小型無人機等飛行禁止法に基づき小型無人機等の飛行が禁止される空港の指定/国土交通省
- 対象空港:新千歳空港、成田国際空港、東京国際空港、中部国際空港、関西国際空港、大阪国際空港、福岡空港、那覇空港
まとめ
空港等の周辺の空域におけるドローンの飛行について、ご理解いただけたでしょうか。
ドローンの飛行を計画するならまず最初に「規制された空域か」「必要な手続きは何があるか」を確認して、早め手続きを進めるほか、飛行の直前にも最新の情報を確認することが大切です。